T君のメモリー 小学生編

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小学校3年生の4月某日、「5月の連休何しようかな?」。 
父:
「近くでヨット教室やってるよ」 (伊丹市主催:広報いたみ に案内されていました)「行こうかな?」とT君は考え、お父さんが申し込みに行きました。

ホールインワンにご機嫌
3日間の教室で、先生(ヨットクラブに入っている子のお父さん・お母さん達)からヨットの乗り方を教えてもらいました。
1日目の午後には、1人でヨットに乗り、自分で操縦しました。
ちょっと怖かったけど、ライフジャケット(水に落っこちても浮いているジャケットタイプの浮き袋)を着るので平気です。
近くから、ボートに乗った先生がいろいろ教えてくれます。
スーっと、音もなくヨットが進みます。波がチャプチャプ音を立てます。何か気持ちいい。
3日目には、1人で何処でもいけるようになりました。僕ってすごい。何か笑っちゃう。
最後はレースです。ヨーイどんで桟橋を出て沖のマークを回って帰ってきます。他の子は、お父さんやお母さんが応援しています。
でも僕には誰もいない。でもいいや。
3日間終わって、小さな修了証書をもらった。
その日の晩御飯、お父さん・お母さん・お兄ちゃんと一緒です。
父:「ヨット教室面白かった?」
「うん。お父さん、ヨットクラブがあるんだって。
ヨット面白いからクラブに入りたい。
父:「他の子も入るって言ってた?」
「いや、でも僕ヨットやりたい。お兄ちゃん・お姉ちゃんいっぱいいるし、先生もやさしい。」
父:「じゃあ申込みしとくよ」
 
伊丹の池で練習
その年の秋、

父:「関西選手権というレースあるよ。出てみない?」
「いやや、負けるもん。練習するけどレースは出えへん」
父:「負けてもいいやん。面白いみたいよ」


関西には、和歌山ジュニア・大阪ジュニア・琵琶湖ジュニア・宮津ジュニア・B&G伊丹・兵庫県セーリング連盟ジュニアしかありません。予選なしに、いきなり関西選手権出場です。
 
開会式 僕は前列左から3人目黄色のライフジャケットを着ています。選手の中で一番ちびです。
 
母心配、あんな遠くまで行けるかしら
結果は、ブービー賞でした。沈(ひっくり返る)して海にもはまりました。
だけど全レース、マークをちゃんと周り制限時間内にフィニッシュ出来ました。

帰りの自動車で、父は思った・・・ほぼビリでかわいそうだったかな?・・・父:「面白かった?」
「お父さん、レースめちゃ面白い。これから全部レース出るから連れて行ってや」

レース海面へ、ハーバー出発

レース終了。ライフジャケットを脱いで・・・何考えてるの?
日曜日毎に練習しました。
父も先生になりました(ヨットの経験関係なく全員先生で、父兄がクラブ員みんなを育ています)。
家族旅行がレースになりました。そしてこんなことがありました。

5年生の夏、初めて全国大会に出場しました。全日本オープンヨットレースです。午前中の最後のレースで、コース短縮になり、いつもと違う感じのフィニッシュになりました。そこで痛恨のフィニッシュミスしちゃいました。
お昼を食べに陸に上がって来た時、陸上からそのレースを見ていた父は、「最後、フィニッシュ間違っちゃってたよ」。T:「僕もそっちがフィニッシュやと思てんけど、前の大きい人がみんなあっちに行くから、そうかなあと思ってついて行ってん」。父:「そりゃ残念やったなあ。もっと自分に自信持たなあかんで。間違ってもええから、自分の思ったとおりに行かにゃあ」。
午後の最初のレースがこのレースシリーズの最終レースです。1艇だけ、4分前のスタート準備信号で、思い切りよくスタートラインを切って、一目散に第1マークに向かっているレース艇がいます。父にはすぐに、それが誰か分かりました。陸上で観戦している大勢から、「あれ、間違えてるんじゃないの?」。その艇は第1マークをトップ回航です。フィニッシュもトップと言いたい所ですが、何故か4分後にスタートした艇に抜かれて7位フィニッシュです。
意気揚揚とハーバーに帰ってきます。父:「ご苦労さん、ようがんばったなあ」。T:「僕、メチャ速かった。7番でフィニッシュしたでえ。見てた?」。父:「見てたでえ。レースでシングル取るの初めてやん」。T:「うん、良かったわア。何かみんな遅かってん」。嬉しそうなT君の顔を前に、「4分前にスタートしてしもたからOCSで失格やねん」なんて言えません。「自分に自信を持って」とお昼に言ったばかりだし・・・。

こんなこともありました。
5年の秋、日本のOPヨットの最高峰のOP級全日本選手権に出場しました。さすがにレベルが高く、T君はビリを走っています。最後のマークを回りました。さあ、フィニッシュまでに1艇でも抜けるでしょうか?
よく走っています。陸上から目を皿のようにして双眼鏡を覗く父:「よっしゃ〜、ええぞ〜」。とうとう前の船に追いつきました。スターボのT君は追いついたポート艇とジャストミートです。・・・「なんだア?」、2艇はぶつかりました。T君が権利艇なので、ポート艇は720度回転してペナルティを履行して遅れます。
「やったあ、1艇抜いた〜」と、横で見ていた小巻君のお父さんに握手を求めます。しかし何か変です。小:「すいません。720度回っているのはうちの子です」。一瞬目を合わせて、2人で大笑いです。「よりによって、クラブからたった2人しか参加してないのに、この2人でケースを起こすとは・・・他に140艇もいるのになあ・・・」

中学受験するので、6年生では練習に行けませんでした。1年間で、レースに3回行っただけです。練習には行かず塾に行っていました。
5月連休(文部大臣杯全国少年少女ヨット大会)  「6位、T君」「??」「6位、T君いませんか?」 「えっ、僕?、ハーイ」
お盆(全日本チームレース選手権大会) 全国のいろんなチームと対戦しましたが、全レース負けました。でも平気。全国に友達できた。他のクラブの子と一緒に泊まって、めちゃ面白かった。
全日本OP級選手権大会 5年生から予選を突破して参加できるようになりました。全日本の成績は、5年:134位/143艇中、6年:88位、中学1年:22位、2年:17位。クラブの同学年5人、みんな全日本20位に入る選手になりました。
 
T君と父親

本人ビックリ、Aクラス全国小学生6位、生まれて始めての表彰状

クラブみんなでスキー、前の白帽子がT君

雪上運動会、T君選手宣誓

6年生全日本、勉強の合間の久しぶりのヨット

黄色がT君、「全日本、面白かった」。うしろはコーチ、でも同じ学年の友達のお父さんだよ。
小学生なのに国体強化選手に指定される。伊丹市コミュニティー誌の表紙を飾る。
伊丹市広報誌表紙を飾った写真
まん中がT君
つづき 中学生編
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